カテゴリ:暮らし方 / 投稿日付:2024/07/19 09:00
家でじっとしているだけで、じわっと汗が出てくる。
冷房を強くすると、足元だけが冷えてくる……。
このような不快感に耐えるのが、夏の恒例行事になっていませんか?
実は、この不快感の原因は住宅の断熱性能の低さにあります。
外の暑さが家の中に侵入しやすい状態では、どれだけ冷房を効かせても快適にはなりません。
しかし、その暑さを我慢していると、熱中症のリスクも高まります。
この記事では、夏の住居での暑さ対策を、建築の専門家の視点からご紹介します。
DIYで実践できる効果的な断熱方法や、リフォーム時に役立つヒントもお届けします。
夏本番が始まる前に、家族の健康を守るための対策をしっかりと行いましょう。
POINT
・家の方が外より不快感を感じる2つの原因
・家の中の熱中症が多い理由
・夏を快適にする対暑方法
・高断熱化で、夏リフォーム
・エアコン買い替えより、断熱リフォーム
これらの各ポイントについて、詳細を解説していきます。
■家の方が外より不快感を感じる2つの原因
▶部屋のサウナ化、熱帯夜…夏によく聞く悩みの2つの原因とは?
◆いったん入った熱が逃げていかない◆
家の内部は壁や屋根に囲まれているため、一度温まると熱がこもり、外よりも暑くなります。
RC造(鉄筋コンクリート)の場合は、昼間に熱を吸収し、夜になるとそれを放出するため、一日中家の中が不快な熱で満ちています。
木造住宅でも、特に2階では温かい空気が1階から流れてきたり、直射日光を受けることで室温が上昇します。要するに、室内に熱を入れない工夫が必要です。
この不快な熱の主な侵入経路は「窓」です。太陽光が差し込むことで、熱が室内に進入します。太陽が高い位置にあるときは、軒を設けることで太陽熱を遮断できますが、太陽が低い位置にあるときは窓から光が奥まで届き、室温が急上昇します。
特に東と西の窓には注意が必要です。
暑い部屋に身を置くことは、体にも影響があります。
人間は運動や食事によって生じた熱を放熱することで体温調節を行っていますが、温度が高い室内では放熱が十分に行われず、体温が上昇しやすくなります。
外であれば自然風が放熱を助けてくれますが、室内ではその効果が限定されます。
体内にこもった熱が不快感を引き起こすのです。
◆部屋の中にある温度差◆
家で過ごす休日、暑さに対処するために冷房を強めると、足元が冷えて寒さを感じますが、逆に冷房を弱めるとすぐに暑くなってしまいます。
このような不快な状況が続くと、せっかくの休日を楽しむことができません。
実は同じ部屋内でも、頭部と足元で大きな温度差が生じていることがあります。
冷房を入れた部屋をサーモグラフィカメラで見ると、床付近が25度であるのに対して、天井は30度以上になることがあります。これにより部屋内で5度以上の温度差が生まれます。
この温度差の原因は、屋根からの熱が天井に侵入し、部屋の上部が暑くなることにあります。
エアコンの冷たい空気は下に溜まるため、部屋の上下で極端な温度差が生じ、快適な環境が得られません。
■家の中の熱中症が多い理由
▶実は、家の中こそ熱中症になる危険性が一番高いのです。
総務省消防庁のデータによると、平成30年5月から9月の間に熱中症で緊急搬送された人数は約95,000人でした。
そのうち、約38,000人が自宅での発症であり、全体の40%に相当します。
屋内にいるからといって安全とは限らないのです。
昼間はリビングなどでエアコンや扇風機を使って暑さ対策をしている家庭も多いですが、夜間の対策はどうでしょうか。
節約のためにエアコンを切って寝ていませんか?
実は、「夜は涼しいから大丈夫」という考えは甘いです。
昼間に熱せられた壁や天井が夜間になって部屋の温度を上げることがあります。
その結果、外気温よりも室内の方が暑くなることがあります。
建築基準法では、室温28度、湿度70%が快適な環境とされていますが、実際はそれ以下の設定が望ましいです。
自宅の温度計と湿度計を設置し、部屋の状態を定期的にチェックすることをお勧めします。思っている以上に高温多湿になっていることがありますので、数値で把握することで危険度が分かりやすくなります。
昼も夜も安心できない自宅では、快適とは言えません。
熱中症の発生件数は年々増加しており、家の中でも発症するリスクが高まっています。
現代では熱中症は家庭内でも発症することがあります。
24時間体制で対策を取らなければ、危険が続きます。
■夏を快適にする対暑方法
▶夏の暑さは不快だけでなく、熱中症のリスクも孕んでいます。ここでは、自分で手軽にできる対策方法を紹介していきます。
◆窓から入る熱を減らす方法◆
重要なのは、初めから日射を室内に侵入させないことです。
先述したように、高い位置の日差しは軒を設けることである程度遮られます。
特に重要なのは、朝日(東面)と夕日(西面)の対策です。これらの角度からの日差しは入射角が低くなるため、外付けのブラインドやオーニングを取り付けて、窓全体をカバーする工夫が効果的です。
手軽な方法としては、ホームセンターで入手できる断熱シートや断熱フィルムを窓に貼る方法もあります。
また、すだれやひさし、ブラインドなどを使って窓からの日差しをブロックするのも一般的な対策です。
◆部屋の温度差をなくそう◆
エアコンの冷気が下にたまると、部屋内で温度差が生じ、不快感が増します。
この問題を解決するには、サーキュレーターを利用して空気の循環を促すのが有効です。
サーキュレーターは、強力な風を直線的に放出します。
エアコンの下に設置することで、冷たい空気を効果的に部屋全体に広げ、温度を均一にします。
扇風機は風が広がりがちで、短距離しか風が届かないため、サーキュレーターの使用が推奨されます。
■高断熱化で、夏リフォーム
根本的な暑さ対策として、住宅の高断熱化が必要です。
特に問題となるのは西側と東側の窓からの熱の侵入です。
高断熱性能の窓に交換することで、熱が室内に入り込むのを防ぎ、室内の温度上昇を抑えることができます。
リフォームの際には、フレームごと交換する方法や、内窓を増設して2重窓にする方法が効果的です。
フレームの交換には時間がかかりますが、アルミ製から樹脂製フレームに変えることで、熱伝導率が大幅に低下し、室内の熱の出入りを劇的に抑えることができます。
内窓を増設すると開け閉めの手間は増えますが、コストも抑えられ、短時間でリフォームが完了します。
窓のリフォームは断熱性能だけでなく、結露の防止にも効果的ですので、お悩みの方は検討してみてください。
一方で、部屋の温度差を防ぐためには屋根や天井の断熱化も重要です。
屋根断熱ではコストがかかりますが、屋根の下に断熱材を入れることで室内空間を有効活用できます。
一方、天井断熱では屋根を通過した熱が天井裏にたまるため、小屋裏のスペースが制限されますが、コストを抑えることができます。
コストや利用方法を考慮して、最適な方法を選んでください。
■エアコン買い替えより、断熱リフォーム
夏の不快感の大きな原因は、住居の断熱性の低さです。
エアコンの冷風で対処する前に、そもそも熱が家の中に入るのを防ぐことが効果的です。
もしエアコンを高性能なものに買い替える予算があるのであれば、その予算を断熱化に投資することも考慮してみましょう。
次の夏がやってくる前に、家族の健康を守るために行動を起こすことが重要です。
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