カテゴリ:不動産を賃す(投資・活用・賃貸経営) / 更新日付:2024/09/20 09:00 / 投稿日付:2024/09/20 09:00
農地とは、農作物の栽培や家畜の飼育を目的とした土地のことを指します。法律により、農地を農業以外の目的で使用することは禁止されています。そのため、農地を他の目的で利用したい場合は、まず「転用」の手続きを行う必要があります。農地転用の具体的な手続きについては、事前に確認しておきましょう。
POINT
・農地転用とは、農地以外に利用できる土地にすること
・宅地転用できる農地とできない農地
・農地を宅地に転用する手続き・流れ
・農地から宅地への転用にかかる期間
・農地転用の注意点
■農地転用とは、農地以外に利用できる土地にすること
▶農作物を育てたり、家畜の放牧のために利用する農地の確保は、国としてとても重要なことです。
■宅地転用できる農地とできない農地
▶農地にはさまざまな種類があります。
■第2種農地
市街化が進むと予想される農地、例えば鉄道の駅から500メートル以内に位置するような場所では、周囲の土地と比べて重要性が高い場合に、宅地への転用が認められることがあります。
■第3種農地
市街地または市街地化が顕著な地域、例えば鉄道の駅から300メートル以内に位置する農地は、一般的に宅地への転用が認められる場合が多いです。
■市街化区域内の農地
市街化区域内に位置する農地は、特例措置により、農業委員会への届出のみで(行政の許可なしに)転用が可能です。
■■宅地転用できない農地■■
■農用地区域内農地
市町村の農業振興地域整備計画で農用地区域に指定された農地です。生産性の高い土地が対象となるため、原則としてこの農地を他の用途に転用することはできません。
■甲種農地
市街化調整区域内で、土地改良事業などの対象となり、事業終了から8年以内の農地です。これらの農地は良好な営農条件が整っていることが多く、基本的には転用は認められていません。ただし、農業従事者の住宅など、特定の用途や目的に応じて例外的に許可される場合もあります。
■第1種農地
10ヘクタール以上の広大な一団の農地で、土地改良事業などを受け、優れた営農条件を持つ農地です。基本的には転用は認められていませんが、甲種農地と同様に、建物の用途や目的によっては例外的に転用が許可されることもあります。
■農地を宅地に転用する手続き・流れ
▶農地を宅地に転用する流れを確認してみましょう。ここでは知事による許可が必要なケースを例とします。
■許可の流れ
転用許可を申請する際の一般的な手順は次の通りです
- 1申請者が農業委員会に許可申請書を提出します。
- 2農業委員会は意見書を添付し、申請書を知事または指定市町村長に送付します。
- 3知事から許可の通知が届きます。
ただし、転用する農地の面積によっては、関係機関への意見聴取や農林水産大臣との協議が行われることがあります。
■必要書類
・許可申請書
・所有者の住民票、戸籍の附票
・土地の登記事項全部証明書
・土地の公図
・土地の位置図
・土地利用計画図
・資力証明書(残高証明書等)
・立面図
・平面図
上記は基本的に必要な書類ですが、農地転用の目的や状況に応じて、追加で提出を求められる書類がある場合もあります。それらの書類も合わせて提出する必要があります。
■農地転用にかかる費用
農地転用にかかる費用は主に二つに分けられます。一つは必要書類を取得するための費用で、もう一つは行政書士などの専門家に依頼する際の報酬です。書類取得の費用は1通あたり数百円ですが、書類の数が多いため、全体で数千円程度の出費となります。一方、専門家の報酬は依頼先によりますが、一般的に8万円から15万円ほどが相場です。
■農地から宅地への転用にかかる期間
農地を宅地に転用する際の申請プロセスは、申請がスムーズに進んでも約6週間かかると言われています(自治体によって異なる場合があります)。ただし、申請には必要書類の準備や調査などが含まれるため、実際には2〜3ヶ月の準備期間を見込んでおくと良いでしょう。
多くの自治体では転用申請の受付期間を定めています。例えば、茨城県水戸市では、受付が毎月21日から25日までで、審議会は毎月13日に行われます。このスケジュールに合わせて申請を行わないと、最終的な許可が得られるまでに1ヵ月の差が生じる可能性があるため、注意が必要です。
また、市街化区域内の農地については、届出による転用申請を受け付ける自治体が多く、受付までに1週間程度かかることが一般的です。
■農地から宅地への転用にかかる期間
■無許可の転用は罰則あり
農地法の改正により、違反転用に対する取り締まりが強化されています。違反が発覚すると、法人には1億円以下、個人には300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。そのため、無許可での転用を避けるためには十分な注意が必要です。
■転用で固定資産税が大幅アップ
農地を宅地に転用すると、固定資産税が大幅に上昇する可能性があります。これは、農地の固定資産税評価額が比較的低く設定されているためです。もし、農地時代と同じ評価額が続くと考えていると、納税通知書が届いた際に驚くかもしれません。転用を行う前に、宅地としての固定資産税額をあらかじめ見積もっておくことをおすすめします。
■自ら転用と権利移動を伴う転用の違い
農地転用には、自ら所有する農地を転用する場合と、権利移動を伴う転用(例として、農地を売却して宅地に転用するケース)があります。この2つでは、適用される法律の条文が異なります。自分で転用する場合は農地法第4条が、権利移動を伴う転用には第5条が該当します。転用を進める際には、どちらの条文が適用されるのかを必ず確認し、進行手続きに違いがあることを把握しておくことが重要です。
■まとめ
農地は基本的に保護すべき資源であるため、たとえ所有者が農業以外の用途に転用したいと考えても、簡単に宅地などに変更することはできません。これまで紹介してきた手続きのプロセスや注意事項からも、その難しさは明白です。
しかし、土地を有効に活用するために宅地への転用が必要だと判断した場合は、積極的に検討すべきです。自治体には必ず農地転用に関する窓口が設けられており、多くの自治体ではホームページ上で情報を提供しています。窓口に相談に行くことで、必要な書類も一緒に手に入れることができ、効率的に進めることができるでしょう。
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