カテゴリ:スタッフブログ / 投稿日付:2022/06/25 00:00
不動産の売却方法として「現状渡し」というものがあります。
売り主にメリットがある売却方法に思えますが、そのぶん責任が発生するので注意が必要です。
この記事では不動産売却を検討中の方に向け、物件の現状渡しのメリットや売り主に生じる責任を見ていきます。
不動産を売却予定の方はぜひ参考にしてみてください。
■物件の現状渡しとは?
まずは物件の現状渡しとはどのようなものなのか見ていきましょう。
物件の現状渡しとは、その名の通り修繕部分を直さずに引き渡すことです。
一般的な不動産売却では、目に見える不具合(瑕疵)は修繕してから売却します。
長く住んでいた中古物件の場合、劣化していたり、なにかしらの不具合が生じたりするのが一般的だからです。
中古物件でよくある劣化や不具合とは
中古物件にありがちな劣化や不具合は、以下のものです。
●外壁のひび割れやチョーキング現象
●クロスの色あせや剥がれ
●キッチンやバスルーム、洗面台など水回りの破損
●給湯器などの設備の故障
上記のような劣化や不具合がある場合、そのまま引き渡されても、修繕やリフォームをおこなわないと住めない可能性があります。
売りに出しても見た目の印象が悪いため、なかなか成約につながらない可能性があるでしょう。
そのため売り主側で必要な修繕をおこない、場合によってはリフォームして売りに出すのが一般的な売却方法です。
その一方、現状渡しとは修繕やリフォームをおこなわず、そのままの状態で引き渡します。
売り主が知っている劣化や不具合をそのままの状態で売却できるので、売り主には大きなメリットがありますね。
■物件を現状渡しする際は注意!売り主に生じる責任とは?
では物件を現状渡しすると、売り主にはどのような責任が生じるのでしょうか?
告知義務がある
物件をそのまま引き渡す責任としてまず挙げられるのが、告知義務が生じる点です。
劣化や不具合がある場所を細かく買い主に伝えなければならず、過去の修繕履歴も告知しなければなりません。
小さな劣化や不具合なら「告知しなくても大丈夫だろう」と思う方もまれにいますが、告知義務に違反すると、賠償責任や契約違反につながる可能性があります。
そのため小さな劣化や不具合でも、必ず告知するようにしましょう。
瑕疵担保責任は負う
物件をそのままの状態で売却する場合、修繕しなくてもいいのは「売り主が知っている劣化や不具合」のみです。
引き渡し後3カ月以内に誰も知らなかった不具合が生じた場合、瑕疵担保責任として売り主の責任で修繕しなければなりません。
瑕疵担保責任は中古物件だけでなく、新築物件にも義務付けられているもので、一般的に新築物件の方が責任を負う期間が長くなります。
契約不適合責任
現状渡しの引き渡し後、売り主は契約不適合責任を負います。
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容と極端に合わない場合、売買代金の減額や追加請求に応じるという責任です。
そのため物件の状態と契約内容に相違がないよう、現状確認書を作成しましょう。
どこにどのような劣化や不具合があるのかを明確にし、売り主と買い主のあいだで認識の違いが生まれないよう準備してください。
そのままの状態で引き渡すことは、一見すると売り主にメリットがありそうですが、さまざまな責任を負わなくてはなりません。
現状渡しならではのトラブルがあるので、売り主が負う責任をおさえておくことがポイントです。
■物件の現状渡しをおこなうメリットとは?
次に物件の現状渡しをおこなうメリットとデメリットを見ていきます。
すぐに売り出せる
そのままの状態で物件を売りに出すと、修繕やリフォームが不要なのですぐに売りに出せます。
「すぐに手放したい」「相続した古い物件を早く処分したい」という場合も、早期に売り出すことが可能です。
また「〇月までには売却したい」など、期限が決まっている場合にもメリットがあるでしょう。
不動産は売り出してからすぐに成約できるとは限らず、物件の状態や立地によってはなかなか売れないことがあります。
場合によっては半年から数年かかるケースもあり、「思うように処分できない」といった事例もめずらしくありません。
期限が決まっている場合、なるべく早く売却活動をはじめる必要があることを念頭に置いておきましょう。
修繕やリフォーム費用をカットできる
修繕やリフォーム費用をカットできるのも、現状渡しのメリットです。
先ほどもお話ししましたが、現状渡しは目に見える劣化や不具合を直さず引き渡します。
劣化や不具合の規模によってはまとまった費用がかかり、売り主の負担が大きくなるでしょう。
そのまま引き渡せばそのような費用がかからないので、売却時の費用を節約できます。
不動産を売却するためには修繕やリフォーム費用だけでなく、税金などさまざまな経費が発生します。
現状渡しなら売却時のコストがおさえられ、満足度の高い不動産取引がおこなえそうです。
売り出し価格が安くなる
現状渡しのデメリットは、売り出し価格が安くなるという点です。
目に見える劣化や不具合を直さないということは、欠点つきの物件になってしまいます。
とくに中古物件の売買では、築浅や問題のない物件が人気です。
同じお金を出して物件を購入するのであれば、必要な修繕やリフォームがしてある方を選びたいですよね。
そのため相場より安い価格を設定しないと成約につながりにくいでしょう。
しかしなかには状態より安さを重視している買い主がいるかもしれません。
最近は中古物件を安く手に入れ、自分好みにリノベーションしたりカスタマイズしたりといった、DIYの需要が高まっているからです。
需要はまったくないわけではありませんので、あきらめずに売却活動をおこないましょう。
また交渉中に値引きをお願いされることもあります。
値引き交渉は現状渡しに限ったことではなく、一般的な不動産売却でもよくあることです。
買い主の気持ちに寄り添い、成約に繋げるための交渉ですが、あまり極端な値引きには応じないのがベターです。
値引きの下限をあらかじめ決めておき、後悔や損のない売却をおこなってください。
家具やゴミは処分する必要がある
売却時は不要な家具やゴミは処分する必要があります。
「現状渡し=家のなかにある不用品をそのままにする」というわけではなく、売却時はしっかり片付けなければなりません。
もし不要な家具やゴミをそのままにして引き渡すなら、その旨を記載した契約書を取り交わす必要があります。
しかし劣化や不具合が修繕されていない状態に加えて、家のなかが不用品であふれていたら、さらに買い主が見つかりにくくなるでしょう。
そのため不要な家具やゴミは処分し、見た目の印象を少しでも良くしておくのがおすすめです。
また売り主のなかには物件が遠く、片付けにいけない場合もあるかと思います。
都合がつかず、なかなか不用品を処分できないという方もいるでしょう。
どうしても片付けられないときは、掃除や片付けのプロに依頼するのがおすすめです。
空き家の掃除や管理をおこなう業者がいるので、ぜひ問い合わせてみてください。
まとめ
この記事では不動産売却を検討中の方に向け、物件の現状渡しについて詳しくお伝えしました。
現状渡しとは売り主側にさまざまな責任が生じるため、実行する場合は注意が必要です。
その反面、売却時の手間がかからないといったメリットもあるので、どのような売却をしたいかによって決断してください。